2016-01-12

新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。

早いもので2013年にシンガポールにて投資活動を開始してから3年が経ちました。

2012年7月頃に東南アジアのベンチャー投資状況を徹底的にリサーチし、同年10月には基本方針を固め、2013年1月にシンガポールに会社を作り、今日まで東南アジア内に本社機能を置くという稀有な日系ファンドとして懸命に東南アジアと向き合ってきました。

そういう中で2015年は三年目を迎えた当社にとって非常に大きな1年だったと思います。まずは2015年の当社の主な活動を振り返りたいと思います。

1.投資実績20社

東南アジアにおいては13社投資、日本では7社の投資を行いました。東南アジアのエリア別ではインドネシア、フィリピン、シンガポール、マレーシア、香港となっていますが年明け早々にはベトナム、バングラディッシュなどの案件も出てきます。まずはASEAN主要国から活動を始めましたが徐々にその活動エリアも拡大しています。

HQを置く東南アジアにおいての活動量に常にこだわり、各メンバーが域内動向を常にキャッチアップし、いい案件があればすぐに現地に飛んで徹底的にインタビューするという個人プレイと、いろんなバックグラウンドを持ったメンバー全員が参加する投資委員会において「第一次判断→第二次判断→TermSheet精査→最終判断」というプロセスをしっかりと回すことで属人的判断に偏らずに投資判断できるチームプレイの両輪がうまく回せるような組織になってきたことを大きく実感した一年でした。

2016年につきましては一層活動範囲を広げASEANに深くコミットした当社ならではのネットワーク作りをさらに強化していきたいと思います。

2.スタートアップコンタクト500社以上、分析レポート362社

当社の投資判断プロセスにおいても重要なツールとなっている投資案件分析レポートですが、当社はこれをファンドLPの皆様にデータベースという形で全開示させていただいています。投資検討に必要な項目を網羅した分析レポートを2015年は362社分作成し開示致しました。コンタクトした数は500社ほどですので70%超の比率で分析レポートを作ってきました。一社あたりA4で5ページ程度にもなる分析レポートは一見、大変面倒な業務ではありますが、これをすでに3年以上続けてきていることで、メンバーの「案件を見るメガネ」がより磨かれていると思いますし、東南アジア及び日本のスタートアップの生きた情報が欲しいというLPの皆様にとってもお役に立てられていると思います。

2016年につきましても件数にこだわり2015年以上のレポートが作れるように意欲的にスタートアップとコンタクトしていきたいと思いますが、今年については現地プレーヤーとの戦略的なパートナーシップを構築し当社の限られたヒューマンリソースが制約条件にならない仕組み作りに挑戦していきたいと思います。

3.東南アジア視察ツアー開催(6月、11月)

東南アジアの熱量はなかなか遠く離れた日本からでは感じることができません。「百聞は一見にしかず」ということで、東南アジア現地動向に関心がある企業様、個人様に当社ができることは何か?という一つの答えが東南アジア視察ツアーとなりました。第一回目の6月はシンガポール、インドネシア、マレーシアの3国のスタートアップを訪問するツアー、第二回目の11月はインドネシア、フィリピンという東南アジアの中でも特にスタートアップ熱の高い二国の現地視察ツアーを行いました。両ツアーとも約一週間でかなり時間的にもハードなプログラムでしたがご参加いただいた皆さまは最後まで集中力を切らさず現地を回っていただきました。両ツアーともに大変満足度高いご評価をいただくことができ今後の取り組みに向けて当社一同も大変励みになりました。

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※6月のツアーでマレーシアのスタートアップ支援施設MaGICを訪問しました。

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※11月のツアーでは、弊社投資先Kudoの現場視察を参加者の皆様と行いました。

2016年につきましては日本企業のご要望があれば引き続き実施検討していくに加え、今年はアジアのプレーヤーを日本に連れて行くなどの試みもしてみたいと思っています。

4.大企業×スタートアップ「アクセラレーションプログラム」開催

2015年はCCCグループ様「T-Venture Program」、東急電鉄様「Tokyu Accelerate Program」の大きなプログラムの企画立案&運営実施に携わらせていただきました。オープンイノベーションという考えが定着し、スタートアップと連携した成長戦略が必須ともなってきた昨今ですが両プログラムは大企業トップ自らが陣頭指揮を取られ、大企業側のスタッフの方々の多大なるご協力や強い意志に加えて、当社が持つネットワークや経験・ノウハウを融合したイベントになりました。参加されたスタートアップは約200社、来場者もヒカリエやセルリアンタワー会場一杯となるほどの動員を果たし、そして多くのメディア様がこの活動を取り上げていただきました。2016年も両プログラムは引き続き執り行われる計画ですがさらに大きなムーブメントにできるようにし、大企業×スタートアップの連携が一過性のブームに終わらずに定着し、近い将来には「当たり前」と言われる社会になるよう貢献したいと思います。

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※写真はT-Venture Programの最終審査会の様子です。

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※写真は東急アクセラレートプログラムの最終審査会の様子です。

5.メディア、イベント参加

当社は東南アジアに6名、日本3名のリソースで投資活動を行っていますが個々のメンバーひとりひとりが存在感を増せるような経営方針と環境提供をしてきました。その結果、個々のメンバーのプレゼンスに磨きがかかった一年となりました。それを象徴するようにいろんなメディアへの露出、イベントへの招聘が各自に来ています。

当社の一つの強みはチーム力だと思っています。チーム力を最大化するために必要だと私がいつも意識するのは、判断責任はトップがするが、執行責任はメンバーがとるという明確な意識付けと権限譲渡だと思います。当社には細かいルールはありません。ざっくりと言えば「当ファンドにとってプラスとなると思うことをやりなさい」ということだけだと思っています。投資現場最前線に立つメンバーが動きやすくするために何が支援できるのか?・・それを考えることは私にとっての大きな仕事の一つだと思っていますし、各メンバーはその期待に大きく答えようとしてくれています。そういう日々の活動の結果がメディアやイベントへの招聘になってきているのだと考えています。

6.投資先バリューアップ、Exit実績

過去投資してきたものが3年経過していよいよExit実績となってきました。2015年においては3社Exitしました。投資倍率はそれぞれ3.0倍、15.6倍、6.4倍でIRRも単純平均で72.3%となりました。また、未実現利益込の評価においては投資先価値も順調に上がっており、この一年で2~3倍、高い銘柄では16倍を超える評価となってきています。加えて、2015年にアジアで開催されたメジャーなスタートアップピッチコンテストでも当社投資先が3社優勝するなど順調に投資先がバリューアップしています。

2015年は東南アジアのポテンシャルマーケットの大きさ、中間所得層の増加、海外投資家及び現地財閥系大型ファンドの台頭などにより大きく期待値が上がってきたことを実感した1年でした。

2016年に入ってマクロ的には中国景気の影響、アメリカ利上げなど憂慮すべき動きもありますがIT系ベンチャーステージの成長力はこれからも大いに期待できるマーケットであることは間違いがないので引き続き投資先バリューアップに関与して行きたいと思います。

当社は必要なときには各メンバーの強み・経験を活かしてかなりのハンズオンで投資先をバックアップしています。2015年もインドネシアの投資先に当社メンバーが経営の一翼として数か月常駐しマーケティング支援、経営支援いたしました。

また、毎月投資先各社の経営状態を把握しモニタリング力強化に努めてきた1年でした。これらの活動には終わりがないと思っていますのでさらにモニタリング力、メンタリング力をチームとしてレベルアップしていきたいと思っています。

以上、2015年の活動を簡単ではありますが振り返りました。

2016年はどんな一年にしたいか?・・・。いろんな人から聞かれるのですが私が大事にしていきたいことは「日常茶飯事をしっかりとやっていく先に大きな成果が生まれる」ということです。

誤解を恐れずに言うならば、ASEANで3年経過した当社は投資活動プロセスはすでに日常茶飯事になってきたのかもしれません。そういう時こそもう一度しっかりと仕事を見つめ直し、丁寧に仕事に向き合うことが重要だと思います。その努力の連続の先に大きな光明が出てくると思います。

引き続きチーム一同しっかりと仕事に向き合って頑張って行きたいと思います。

本年も引き続きどうぞよろしくお願いします。

2016年1月

IMJ INVESTMENT PARTNERS

代表取締役社長 堀口雄二

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