2016-02-06

ベトナムの基礎情報&現場雑感

はじめまして、IMJIPシンガポールオフィスの廣田です!

 

初投稿ですので、簡単に自己紹介をさせて頂きます。私は2009年に三菱商事の財務部に入社し、主に為替、金利、株式の取引や金融市場、マクロ経済の調査業務に携わりました。2014年にシンガポールで半年間勤務した際に、東南アジア経済の目覚ましい発展を目の当たりにし、「若い内に可能性の溢れるアジアに身を置いて働きたい」と強く思うようになりました。併せて、従来から希望していたファンド業務にここ東南アジアで携わる為に、2015年5月にIMJIPシンガポールオフィスに入社しました。現在は主にベトナムとシンガポールの投資先開拓を担当しており、また近々バングラデシュやインドなど南アジア諸国へも訪問の機会がありそうで、益々楽しみな今日この頃です!

 

さて、今回は担当国ベトナムの基礎情報と現場での活動を通じて学んだ事を皆様にお伝えさせて頂きます。

 

1.ベトナムの基礎情報

2015年のGDP成長率が+6.68%とアジアではインドに次ぐ高成長を記録するなど、ベトナム経済は今伸び盛りです。背景には拡大する中間層の消費パワーや、「チャイナプラスワン」として製造業を中心に海外からの投資が盛んに行われている事が挙げられます。また、人口は推計で9,350万人(2015年、国連)と世界第13位、東南アジアでは第3位の人口大国で、且つその内60%を35歳未満が占めるなど人口構成も若く、正に今、人口ボーナス期の恩恵を享受し始めています。

 

インターネット普及率は過去5年間で年率+11%のペースで拡大し、2015年推計で42%に達しており、その内75%がモバイル経由という特徴があります。街を歩くと殆どの若者はスマートフォンを持っており、しかも何故か高価なiPhoneの普及率が高い気がします(この点は後述します)。また日本とは違いパソコンをすっ飛ばしてモバイルが普及したので、IT系スタートアップのサービスも自ずとモバイルベースでの提供が必須です。

 

モータリゼーションも進展していますが、渋滞が激しい事もあり人々の主な移動手段はバイクです。時には器用に家族4人で乗っていたり、体より大きな物を運んでいたりするので驚きます(笑)またベトナムでは歩道や信号が少なく、道の横断は正に命がけです・・・基本はローカルの人にくっついて渡るのがベストですが、1人の時はバイクの集団の中に一定のスピードで入って行く事が重要です。そうすれば器用な彼らが見事なテクニックで避けてくれますので(笑)ぶつかりそうだからと言って絶対に走ってはダメですよ!

 

【昼夜問わずバイクが行き交う街中、交差点は基本歩行者より彼らが優先・・・】

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2.南北のお国柄事情

ベトナムは南北に長い国(なんと1,650km!)ですが、主な都市は北部の首都ハノイ、中部のダナン、南部の商業都市ホーチミン(サイゴン)です。私はまだ中部のダナンには行った事がありませんが、ハノイとホーチミンの違いは外国人でも肌で感じる事ができます。

 

先ずハノイは1,000年以上の歴史を誇る政治の街という事もあり、どこかお堅い雰囲気です。お店も夜11時を過ぎると殆ど閉まってしまう為、呑兵衛には厳しい街です(笑)一方でホーチミンは、フランス植民地時代に本格的に開発された事もあり、どこか開放的な雰囲気が漂っています。その空気に影響されてか、北部の人は真面目でコツコツ努力するのが得意で、南部の人は楽観的でコミュニケーションが得意な気質があります。現地のスタートアップの友人に話を聞いても、一般的に北部は勤勉なディベロッパーが多く、南部は営業やマーケティングを志向する人が多いとの事でした。

 

また、南北の違いを知る上でベトナム戦争の歴史は避けては通れません。社会主義の北部が資本主義の南部を打ち破って統一を果たした事で、政治家、官僚、国営企業の幹部など国の中枢には未だに北部出身者が登用される傾向が強いそうです。また、統一後はサイゴン(ホーチミンの旧名、現地の人は現在でもこの名称を好んで使います)がホーチミンと改名させられ、急速な社会主義化が行われた事で南部の人々は苦難を経験し、多くの難民が欧米や日本に移住しました。この悲しい歴史から北部と南部の間には未だにシコりがあり、お互いを補完し得る存在であるにも拘わらず微妙な距離感があるとの事でした。

 

勿論、人的交流が盛んな若い世代では徐々に薄れつつあるようなので、しがらみの関係無いスタートアップだからこそ南北がタッグを組んだ強いチーム、ビジネスが今後は生まれるのでは無いかと期待しています!

 

【南北問わずとても親日!】

(左はハノイで日越友好をアピールする若者、右は日本がホーチミンに建設中の地下鉄)

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3.統計からは見えないベトナムの姿

ベトナムの一人当たりGDPは2015年推計で2,000米ドル程であり、大卒の初任給は月給300米ドル程と言われています。ですが、街中のお洒落なカフェでは日本円で1,000円弱するランチセットを美味しそうに若者グループが食べていたり、その片手にはiPhone6が握りしめられていたりします。ふと、「あれ、ベトナムの所得水準って日本の10分の1位じゃ無かったっけ・・・!?」と疑問に思うのですが、これには三つの理由がある事が分かりました。

 

①大都市が飛び抜けて豊か

他の東南アジア諸国にも言える事ですが、大都市が全国平均よりも飛び抜けて豊かな傾向があります。ホーチミンも例に漏れず、一人当たりGDPは5,000米ドルと全国平均の2.5倍もあります。従って、一つの都市圏としては充分に中所得国に匹敵する市場があると言えるので、高価格帯の商品なども意外と普及し易いのかもしれません。

 

【大都会なホーチミン】

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②借金をしてでも消費が好き

ベトナム人は将来に楽観的な事から、借金をしてでも消費に回す傾向が強いようです。消費者金融サービスは発達していないので、主に個人間の貸し借りや給料の前借り(日本でも子供の頃は言葉としてよく聞いた記憶があります)、質屋などの利用が多いそうです。

 

③副収入を入れると実際の所得は2倍!

ベトナムでは現金決済が主流で、道端のお店では大抵レシートも出ないので、帳簿の操作など遣りたい放題だそうです(笑)特に自営業の人は適度に収入を申告しつつ、当局に検査されないように適度に賄賂を払う事で、見掛けよりも多くの収入を確保しているのでしょう。現地の友人に確認しましたが、堂々と「実際は給料の2倍は収入がある」と言い切っていました(笑)

 

【外見は崩れそうなビルの中に、お洒落なカフェがあるのも魅力です】

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いかがでしたでしょうか?ベトナムに少しでも興味を持って頂けたのなら幸いです。次回はベトナムのスタートアップ・エコシステムについて書きたいと思いますので、是非またご覧下さい!

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