2016-06-26

ベトナム・ダナン出張報告

IMJIPシンガポールオフィスの廣田です!

 

この度、6月17日~20日まで初めてベトナムのダナン市(Wikipedia)に出張して来ましたので、そのご報告をさせて頂きます。

 

ダナンはベトナム中部(ハノイ、ホーチミンから夫々飛行機で1時間)に位置する、人口百万人程を擁するベトナム第三の都市です。山と綺麗な海に囲まれ、近隣には古都フエ(日本で言う奈良?)や異国情緒溢れるホイアン(日本でいう長崎?)などの観光資源が豊富で、近年日本では若い女性を中心に人気が急上昇しており、成田からも直行便が出ています。

 

そんなダナンで、今回6月18日にDa Nang Start Fair 2016という初のスタートアップ関連イベントが開催され、私は分科会のスピーカー、ピッチ大会のジャッジとして参加して来ました。

 

①Da Nang Start Fair 2016の概要

イベントはダナン中心部を流れるハン川の中州に位置するMercure Hotelにて、500名程の参加者と35社の展示という規模で開催されました。特に、地元の大学生ボランティアが多数参加し、来場者の案内や空き時間には興味深そうに展示を回っていたのが印象的でした。

今回のイベントはDNES(Da Nang Entrepreneurship Support)という市政府直轄の組織が中心となり、アジア開発銀行、オーストラリア政府、Innovation Partnership Program (フィンランド政府のODA)、ドイツのコブレンツ大学、Microsoftなど様々な主体がスポンサーとして参加しており、産学官が一体となってダナンのスタートアップを盛り上げて行こうという意気込みを感じました。一方で、ピッチに登壇した一部のスタートアップの質という意味ではまだまだ向上の余地があると思いました。英語の問題(そもそも母国語以外で数百人の聴衆を前にプレゼンをする事自体がスゴイですが・・・)もありますが、投資家を含む来場者に何を伝えたら良いのかが定まっていない印象でした。尤も、こうしたスキルは投資家を含むエコシステムプレイヤーとの関わりを通じて十二分に向上するものだと思いますので、私個人としても今後ダナンに訪問を重ねる中で彼らのスキル向上に貢献していきたいと思います。他方で、ピッチ大会で優勝したAntBudy社のプレゼンは秀逸でした。サービスもダナンの優秀なエンジニアがU.SのSlack社をモデルとしてビジネスコミュニケーションツールを東南アジアの中小企業向けに開発しており、これからがとても楽しみなダナン発のスタートアップです。他にも、自然や伝統文化などダナンの特徴を活かした社会的起業家(外国人観光客の伝統文化体験、自然食品や化粧品の販売)が多く登壇していたのも特徴的でした。

 

【イベントの旗】

イベントの旗

 

【分科会の様子】

分科会2

 

②ダナンのスタートアップ・ハブとしての魅力

その一:インフラ

朝晩には激しい渋滞が日常茶飯事の東南アジでは珍しく、ダナンでは渋滞があまり見られませんでした。理由は適度な人口規模に加えて、碁盤の目に整備された道路やハン川の両岸を結ぶ9つの橋など、計画的なインフラ整備に寄る所が大きいと思います。実はダナン市政府はクリーン且つ先進的な政府としての評判が高く、ハノイやホーチミンとは異なる整然とした街並みを見ると頷けました。やはり人の移動の自由度はスタートアップの様なノマド&コラボラティブな仕事スタイルの生産性に直結する事だと思いますので、この観点からダナンは優位性があると言えます。

【碁盤の目に作られた街並み】

碁盤の目に作られた街並み

【ダナンの名所、ドラゴン橋】

ドラゴン橋

 

その二:優秀な人材プール

ダナンには9つの大学があり、教育都市としての評判も高いそうです。一方で、これまでは大手企業やスタートアップの立地が少なかった為、卒業生の多くはハノイやホーチミン、海外の大都市などに流出してしまっていたそうです。そこで、今後は起業家やスタートアップを積極的に誘致し、これらの卒業生に街に留まって貰いダナンの更なる発展に貢献して欲しいとの思いがあるそうです。実際に私の米国人の友人は、ダナン市と協力してシリコンバレーのアーリーステージの起業家に対してオフィス、住居、食事、各種サポートのパッケージを月間2,800ドルで提供する計画を立てています。元々オフショアソフトウェア開発の歴史が長く優秀なエンジニア多い土地柄である為、ここに優秀な起業家が加わればダナンで生れたサービスがグローバルに展開される日もそう遠くは無いかもしれません。

 

その三:豊かな自然&文化

何と言っても綺麗な山と海、そして歴史と文化に囲まれているのがダナンの都市としての魅力です。あるシリコンバレー在住の登壇者の言葉を借りると、「何故米国のスタートアップはNYやLAでは無くシリコンバレーで盛んになったのか?それは起業家が自然に囲まれた環境の中で仕事に没頭し、休日には思いっ切り遊びに没頭する事を好む人々だからだ。そしてダナンには、シリコンバレーの特徴がそのままある」との事でした。こうしたダナンの都市としての魅力が広まれば、東南アジアに於ける起業の拠点として選ばれる可能性は十分にあると感じました。

 

【ダナンの豊かな自然】

自然豊かなダナン

【ダナンの夜景】

ダナンの夜景

【異国情緒溢れるホイアン】

異国情緒溢れるホイアン1異国情緒溢れるホイアン2

 

まだまだスタートアップ・エコシステムが立ち上がったばかりのダナンですが、今後の発展の可能性を感じずにはいられない出張となりました。皆さんもベトナムにお立ち寄りの際は、ハノイやホーチミンから少し足を伸ばしてみてはいかがでしょうか?

Back number list