2016-01-15

ベンチャーキャピタルのソーシング・マネジメント

こんにちは!宮崎です。今週、シンガポールで、新年の挨拶もかねて投資家・VCの方をひたすら訪問し、弊社の2016年の活動計画を共有させて頂いております。情報交換させて頂いている中で、面白いな、勉強になるな、と思ったのが、特にアジア各国のソーシングについて、どのようにスタッフを配置するのか、という点です。

弊社は、東南アジアのソーシングに力を入れており、シンガポール本社は代表を含めて3名、インドネシアは2名おります(東京オフィスは3名)。東南アジアのスタートアップを開拓する!という時に、チームとして考えなければいけないのが、各メンバーの効率をいかに上げ、チームとしての生産性を向上させるかです。シンガポールをベースにしているVCの中で、5人以上スタッフを抱えているところは数多くありませんが、色々話を聞かせて頂いた中で、下記3パターンに分類することができました。

1.国別に担当を決めるパターン
一番多いのがこれです。マレーシアはAさん、インドネシアはBさん、というように。各メンバーの住み分けが明確ですし、出張の効率が良くなります。コンタクト・窓口が明確なので、現地のネットワークも築きやすいので、一番シンプルなやり方、かつアーリーステージの我々にとっては相性の良い方法だと思っています。国の文化や言語に精通できる一方で、各自が複数のセクターを見なければいけないため、ビジネスやテクノロジーのトレンドを理解しなければいけないという課題もあります。

2.セクター別に担当を決めるパターン
次に多いのがこのパターンです。ヘルスケアはAさん、フィンテックはBさん、というパターンです。国をまたいで東南アジア、というざっくりとした地域の中でこれを見ると、確かに、国別では見えてこなかった、より大局的な動きがクリアに見えてくる気がします。また、ビジネスの理解度は深まるため、一見複雑なビジネスもどこが肝なのか、早く評価できるようになるかと思います。セクター別に担当を置くことのデメリットは、各リージョンとの関係値が、国別に担当をする場合よりも薄くなりがちである、という点です。よりレイターステージの投資の場合はある程度プレイヤーが出ているので評価しやすいですが、我々のようなシード~シリーズAというステージで投資する場合には、適切なタイミングで発掘できない可能性もあります。

3.全く役割を決めないパターン
ファームによっては、全く制限や役割を決めていないところもありました。完全に個人の意思で動く、ということです。この場合、組織としては、各メンバーの動きにダブりや無駄が発生する場合がありますが、とあるファームのヘッド曰く、「投資担当者と起業家の距離や信頼関係がベンチャー投資の基本」ということで、敢えて分けていないとのことです。つまり、とあるマレーシアのフィンテック企業■■社に対して、マレーシア担当のAさんが、あるいはフィンテック担当のBさんが必ずしもハマるわけでもない、と。確かに、イケテル起業家にはイケテル投資家が集まる、と言います。「イケテル」という言葉に、国もセクターも関係ありません

アーリーステージのベンチャーキャピタリストとしては、「イケテル起業家が最初に来る」環境をとにかく創らないといけません。そのために、エリアを絞る、セクターを絞る、ということは選択と集中という一つの手段として有効だと思いました。一方で、各メンバーが日々の活動の中で力をつけ、コミュニティ内で高い評価を受けることで、国やセクターを問わず「指名で」投資相談が来るようになるようにしなければいけない、ということにも気づきました。このレベルにまで行けるように、自分の価値を高めるべく、目の前のことに一所懸命に取り組もうと思います。

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